八神庵の異世界無双2(ノベル版) 感想
読み終わったので
ネタバレ全開なんで要注意っス
・ストーリー
厄介になってた孤児院がピンチなのでエルフの王都に直訴しに来たら、なんか毒水とオーク軍襲撃で大変そうでした。大変そうなので解決する事にしました。後敵の大将が京だったので庵の目的もついでに達成出来そうですやったね!
主役は庵なわけだが、半分ぐらいリリリがメイン。文章の8割ほどは彼女の一人称なので、実質主役と言っても問題なさそう。
実際魔王軍相手に無双してたのもリリリ達だし。「八神庵の異世界無双」とは…。
内容自体は、「これやらせたら面白いかなぁ」を詰め込んだせいで話がとっ散らかってる印象。孤児院パートとか丸々カットでも問題無いレベル(挿絵で笑ったけど)
とにかく序盤〜中盤が展開遅くてダルい。何か出るたびに「○○とは○○の事で〜」と一々解説が挟まるのもそこに拍車を掛けている。
終盤のvs魔王軍に入ってからはいい感じに盛り上がるのだが、肝心の庵vs京が大分しょっぱい出来。一巻から格闘シーンはアレだったので期待はしてなかったが。
ラストは次の国に向かいそうな空気を出して終わり。続けようと思えば長く続けられる感じになってきた。
後はヤサカさんとかアルテナの過去とか、今後の伏線がチラホラ。伏線を引っ張ってる感じはしないので、次巻あたりで回収されるかもしれない。
総合すると「一巻のような『出オチ』感が無い分、失速してるのは否めない」と言った所。京という切り札も切っちゃったので、今後どうやって巻き返すのかは未知数。舞あたり出してエロコメ路線に走るとかやりそうだなぁ。
・キャラクター
KOFキャラのそっくりさんも引き続き多数参戦してるのだが、「ショタケモ耳ロバート」「ぽんこつエルフ姫キング」「大門と紅丸に化けていた不破刃&影二」といった斬新な起用が目立つ。
キムとチョイがほぼそのままの役割で出てるが、それ以外は「?」が付く人選で、「有名だから」「ユリと絡ませたいから」「凄い漢だから」「化けると言ったらニンジャ」ぐらいの考えで出したんだろうなぁ…と邪推せざるを得ない。
キャラの扱いも雑。キムはステレオタイプ独善者だし、キングはキング要素がトルネードキックとBARイリュージョンぐらいしかない。
ロバートとかホント悲惨。新手のNTRじゃないのか、アレは。
そもそも、隙あらば原作セリフを言わせてるせいなのか正直キャラが薄い。原作再現ってそういう事じゃないと思うのだが…。
個人的な見どころはキングのぼっちバレシーン(かわいい)と、キムが「明日の気力を前借りする薬」を恒常的にチョイに飲ませてる事が判明するシーン。流石にヤバくないかコレ?
そういえば京君、これ異世界から帰ってきた直後にネスツに捕まったの?ハードモード過ぎない?
・ネオジオ
記号的というか、ネット受けが良さそうというか、そんなネタが無節操に散りばめられている。
マニアックなのは96キムの勝ち台詞と、アテナのファイアーソードぐらいだろうか?
うまく話に組み込めてるわけでも無く、入れました出しました感が強い。
その上で「鳳凰脚をギリギリでジャンプ回避して百合折り」「鬼焼きで火の粉飛ばして範囲攻撃」みたいな、KOFやってたら逆に書けなさそうな描写もあるので油断できない。鳳凰脚食らうだろそれは!
「半月斬ガードさせて飛燕斬ぶっぱ」のような初心者あるあるはちゃんと書けてたし、知らないワケでも無さそうなのだが…。
実際ウケてる以上とやかく言うのもお門違いだとは思うが、これを「愛が深い」と言うのは色々と違う気がする。
たぶん話が続いたらどっかで風雲拳の人とか出てくる。
・バトル
呪文詠唱から大技ぶっぱの無双シーンはちゃんと書けてたと思う。
ただ、タイマン格闘になると急にクオリティが下がる。殆どは、初手KOか大技を大技で返して勝ち(負け)みたいなターン制格闘バトルばかり。
肝心の庵vs京も、いちいち技名をフルネームで書きながら戦い、少しやりとりしたら「ほう、○○か」とまた技名フルネームで書きながら解説タイム。ボンガロみたいに技出す時叫んだほうが色々早いんじゃないか。
無双シーンは駆け引きとか受けとか書かないでいいから楽なのかなぁ、と思ってしまった。
・庵
京の波動を感じ取ってるのか、前巻以上に情緒不安定。
キレ顔で作業服来た後農耕に勤しんだり、熊に屑風永久決めたり、
ショタロバに非難されてムカついたのか首掴んで三段笑いしたり、
その翌日当のロバートに「大人になれ」と説教したり(お前のが大人げない)、
キング煽ったら煽り返されたのでムカついたのか即琴月決めたり、
自分の服ごと焼いてサービスシーンを披露したり、
京しか目に入ってないと思いきや所々妙に冷静で問題解決に向かって皆を纏めたりと大忙し。
正直、話の都合で動いてる感じが否めない。相変わらずの庵botである。
特に、自分から煽っといてキングに煽り返されたら即琴月は笑ってしまった。前巻でアルテナに「敵意のない者に振るう、誇りに欠けた力が暴力だ」とのたまっといてコレである。
後半で「庵の炎で焼かれたおかげで毒が抜けた」という描写はあったが、それはそれとしてアレはムカついたから殴っただけだろう。
全編通して「実はいい人」「京が絡まなければ常識人」アピールが凄いので、この作品の庵はそういうキャラなのだろう。もしかしたら、今後そういうキャラとしてSNKも売っていくつもりなのかもしれない。KOF14だといつも通りだった気がするが。
というか「京が絡まなければ常識人」なんじゃなくて、「京以外と絡んでる媒体がそもそも少ない」だけなのでは…?
・その他
熊の鳴き声が「グマアアアアアアアアア!!」だったりオークの笑い声が「オークックックック」なのは流石にどうかと…
・総評
最後の方にケンスウっぽい人が出てたのでぜひ同行して欲しい。
そして「舞はん…」とか言ってほしい。